STRAIGHT AFTER A BATH - ジャグジー編 -


第一話
第二話
第三話
第四話
第五話


続きものの第六話です。


民家の玄関の引き戸は半開きになっており、隙間から60代位の男性(以下「オヤッサン」)の姿が見えた。
俺「ごめんください。近くで車が故障してしまって、救助を呼びたいのですが、携帯電話が圏外なもので・・・」
オヤッサン「あぁ、電話ね。ちょっと待ってね。」


状況をすぐに飲み込んだようで、俺の話を遮ってきた。話が早い。



オヤッサンは家の奥に向かって電話の子機を取り、玄関に居る俺に差し出した。
とにかく、頭を低くし、できるかぎりのお礼を述べた。本当に助かった。


すぐにロードサービスに電話をする。
「フリーダイヤルですので、料金の方は気になさらないで下さい。」
と言うと、オヤッサンは「ははは、気にしないよ。」と笑顔を見せた。
その笑顔を見て、少し空気が和んだ。


どうやら30分程度で修理に来てくれるらしい。これでひとまず安心できる。
そのことをオヤッサンに告げると「じゃあ、ちょっとウチで涼んできなよ」と、言ってくれた。
気温は恐らく30度を超えており、非常に熱い。
俺はオヤッサンの優しさに甘えた。


オヤッサンは縁側の日陰に椅子を運んできてくれて「まぁ、掛けなよ」と言った。
本当にどこまで優しいんだ。そして甘える俺。


さらに、オヤッサンは再び家の奥に戻ると、爽健美茶とパンを差し入れてくれた。
なんて優しい人なんだ・・・。どこまでも甘える俺。本気で涙が出そうだった。


オヤッサンも自分の近くに座り、今日の天気の話題、霧がこんなに凄いのは珍しい、とか、今年の
夏は涼しい、といったあたりさわりのない会話をした。
ふと、自分が自己紹介していないのに気づき、慌てて椅子から立ち上がり、改めて自己紹介を行った。


自分の苗字を聞いたオヤッサンは、すぐにピンときたようで、地元の人間だということに気づいてくれた。
卒業した小学校・中学校について話すと、なんと、オヤッサンは中学校の同級生だった女生徒の父親だと
いうことが判明した。
自分の通っていた中学校は1学年60人程度と、非常に小さな学校だったため、すぐに女生徒の顔と名前が一致した。


娘の同級生と知ったからか、オヤッサンのテンションも上がり、話に花を咲かせた。
そして、驚くべき事実に辿り着くことになるのだった。


つづく