STRAIGHT AFTER A BATH - 入浴編 -

fj_saf12006-08-12



第一話
第二話
第三話
第四話



続きものの第五話です。


車の中で3時間程度仮眠するが、暑さで目を覚ます。既に太陽は高く昇っていた。
このまま実家へ直行しようかと思ったが、もうすこし寄り道しようと思った。
今日の目的は廃入浴施設潜入だけでなく、買ったばかりのブーツの足慣らしも兼ねている。
ブーツの性能評価と足慣らしをするには、もう少し歩いてみるべきだと考えた。


深い考えもなく、母校に車を向かわせた。
6年間通った小学校。思い出の詰まった場所だ。
それにしても海から押し寄せる霧が凄い。何という天気だろうか。
標高の高い山に登ったように、目の前をモヤモヤが通過してゆく。


そんな中、母校の校庭で一人、校舎や、花壇、遊具。校舎に巣を作ったツバメの写真などを撮る。
買ったばかりの「EF50mm F1.8」という安物レンズの性能評価も行う必要があるからだ。




暫くの間母校にお邪魔させてもらったが、濃霧は一向に収まらない。
せっかくなので、濃霧が漂う海でも見ようと、海が見えるロケーションを探すことにした。


まずは港へ向かう。
もの凄い霧だが、写真にするとただの曇天のようにしか見えない。



海を見晴らせる場所へ向かう。
水平線は全く見えない。猛烈な濃霧。


この水分が大量に漂う空気はカメラに良くないな。と思い、撮影を切り上げて車に戻る。
シリンダにキーを差し込み、捻る。


ブルルルルッ・・・ブルルッ・・ブルッ・・・
ブルルルッ・・・ブルッ・・ブッ・・・


「な、なんだってーーー!」


・・・エ、エンジンが・・・かからないっぽいげじゃね?。


何度も試したがエンジンは始動する気配がない。
仕方なくレスキューを要請する決断を強いられる。
しかし、そうは問屋が卸さない。携帯電話が圏外。バリゼロ。


近くには公衆電話もない。
少し離れた場所に一軒だけ民家が見える。



その民家に向かう以外の選択肢は残されていなかった。


今にしてみれば、俺はその家に導かれていたとしか考えられなかった。


つづく