BACK TO THE RUINS -prologue-

俺は友達と手を繋いで鬱蒼とした茂みの中を歩いていた。
手がベトベトに汗ばんでいるのをハッキリと記憶している。
茂みの奥へと進むと、視界にトンネルが現れる。
そのトンネルには観音開きの鉄扉が据え付けられていて、錆びた鉄扉は半開きだった。
中の様子は暗くて全くわからなかった。
草木の覆う山肌に掘られたそのトンネルの佇まいは地獄の入り口の様だった。
半開きの鉄扉の隙間から負のオーラが溢れていた。
俺たちは、そのトンネルの中に何があるのかを調べるためにやってきたのだが、誰もトンネルの中に入ろうとは言わなかった。
遠くからトンネルを見つめるのが精一杯。
おそらく、自分が実際に目にした光景の中で最もネガティブな風景だった。


恐怖心からトンネルに入るのを諦め、俺たちは意気消沈引で引き返した。
その帰り道、友達が異様な物体を発見した。
それは、直径1メートル程の球体で感触は発砲スチロールのようだった。運動会の大玉転がしに使う大玉と同じようなサイズだ。
俺たちはその球体を面白半分で地面を転がして遊んでいたが、ふと、球体の一部に切れ目があるのに気づいた。
球の表面に一箇所だけ、一辺30センチ程の正方形の切れ目が入っていたのだ。
「これ蓋かな?」と思った友達の一人がその正方形の切れ目を取り除いた瞬間、全員が凍りついた。


正方形の「蓋」を外すと、その中にはにスカルアンドクロスボーンが刻印されていたのだ。


全員が直感的にスカルアンドクロスボーンの刻印を見て、毒薬や爆薬を連想した。
俺たちが探検していた場所は戦時中の兵器工場の廃墟だからだ。


全力疾走で俺たちはその場から我先にと猛ダッシュで立ち去り、二度とその場所に近づくことはなかった。



小学生時代の戦慄の思い出だ。あれから20年経つ。
あの時の出来事は正直言ってトラウマだ。
トンネルの前で立ち尽くして一歩も動けない・・・今でもそんな夢をたまに見る。


・あのトンネルの中には何があるのだろうか?
・あのスカルアンドクロスボーンの刻印された球体は、一体何だったのだろうか?
俺の人生の中で最大級の疑問。


このまま墓場まで疑問を抱き続けるのだろうか・・・


いや、絶対に解明しなければならない!
絶対に解明して見せる!


俺は20年越しの再調査を決意した。
そして調査に協力してくれる心強いメンバーも得た。
本当に有難いことだ。


俺は必ずあの場所へ戻る。


戻らなければならない。


確かめなければならない。


この目で。


もう一度。



決戦の日は、近い。<<つづく>>