Passage to colosseo

午後９時、早々？に仕事を切り上げて、ひとりで会社を出る。
ハッピーな週末が待っている。
先週タクシー代で２万円出費したが、清算されて何故か１万円戻ってきた。
もちろん今夜はフィーバーだ。

東海道線のホームで湘南ライナーのチケット（￥５００）を購入。まだ出発まで２０分ある。

すかさず駅構内の回転寿司、「うず潮」に直行。

２０席程の楕円形をしたカウンター席には、俺を含めた会社帰りのオッサン連中が
ビッシリと陣取っている。
まさにコロッセオ。

そのコロッセオで、俺の戦いも幕を開けた。

まず、お茶をいれる。
手始めにビールと味噌汁。挨拶代わり。ボクシングならグローブを合わせるようなもの。

そして次の注文、ファーストアタックが肝心。
俺は「アレ」を探す。
しかし「アレ」が見つからない。

仕方ない・・・
「すいません、大トロ（４００円）」

決まった。さりげなく、謙虚に、大トロ（４００円）。
一発目から。しかも、あまり食べたくなさそうに。
カウンターのニーキックで相手が浮いた状態。
後は、パンチ・パンチ・パンチ・サマーソルトでフィニッシュすればＯＫ。

続けて、
コハダ（１５０円）（パンチ）
サバ（１５０円）（パンチ）
イワシ（１５０円）（パンチ）

中トロ（３００円）（サマーソルト）

さらに、
中トロ（３００円）（ニーストライク）
タコ（１５０円）（サッカーボールキック）

エクセレント！

たまらず右隣が席を立つ。
勝った。圧倒的に。

右隣の席が片付けられた直後、すかさず、右隣に小柄なオッサンが座る。
「プ。雑魚め。相手してやるぜｗ」

しかし、直後に驚くべき光景を目の当たりにする。

オッサン着席直後、注文してないのに、ビール、味噌汁、刺身の盛り合わせが登場。
コロッセオ混乱。

そう、おそらくは、オッサンは待ってる間に注文していた。

スムーズ、流麗。ステファン・エドバーグのサーブ・アンド・ボレー。
無駄が無い。
最短距離を一気に走りぬけて、俺の心臓をピンポイントで捕らえた。

俺は、かんぴょう巻き（１５０円）を食ってコロッセオに背を向けた。