BACK TO THE PARADISE - 時代 -

つづきもの

第一話
第二話

ランディング ８：００　ＡＭ

ハイキングコースを下れば「楽園」に突入できる。もうひと踏ん張りだ。
ご丁寧に手すりが残っているため、楽々と突入できるように見える。
と、同時に、自分がどれだけ山を登ったのかと驚く。

休憩も挟み、軽い足取りでハイキングコースを下る。

しかし、ハイキングコースは途中で姿を消していた。
高さ２〜３メートル程に伸びきった雑草は針金のように固く行く手を阻む。
体を横に向け、雑草と対峙する面積を減らし、リュックを盾にして、カニ歩きで突破に挑む。
目の前の雑草に蜘蛛や毛虫が張り付いていても気にならない。ようは、慣れだ。
とにかく、斜面を下に向かって突き進んだ。

暫く歩くと、雑草は途切れ、砂利道に突き当たった。

「楽園」への突入に、成功した。

失われた風景

「楽園」の南端に無事上陸を果たし、砂利道を歩く。

屋外バーベキュー場／屋外ステージ

砂利道を少し歩くと、悲しい光景が目の前に現れる。
荒れ果てた屋外バーベーキュー場と、屋外ステージだ。

かつて、特撮ヒーローショーで、電子戦隊デンジマンや太陽戦隊サンバルカン、大戦隊ゴーグルファイブが悪の組織と戦い、
寺内タケシが南風にのせてエレキギターのサウンドを運びこんだステージ。
夏の日差しと、バーベキューの炎に熱っせられながら、ワクワクドキドキして眺めたステージ。
今は、この有様。

言葉を失う。

レストラン「浜千鳥」

レストラン・・・の跡地。
完全に解体され、瓦礫も運び出されている。

アシカ園

・・・

レストラン「黒潮」

・・・

想定外

ほとんどの建物が解体されていた。一つの時代が終わった事を感じさせる。喪失感がノスタルジーを上回る。
自分の思い出を振り返る旅のはずだったが、時間の流れの残酷さを思い知らされるだけだった。

白昼夢のような風景を歩き続けると、突然、人の声が聞こえた。
え・・・？空耳？幻聴？鳥の鳴き声？

心拍数が上がる。
神経を研ぎ澄ませ、気配を感じ取る。

足音が聞こえた。
女性の声、二人以上。

俺以外の誰かが、「楽園」にいる。<<つづく>>